買取りをしない車買取り業者

数年前に家庭の事情もあって、車を手放そうと考えて買取り業者に査定を依頼した事があります。その業者はテレビのコマーシャルや車に関係する雑書等でも、お馴染みの日本国内では最大級の車買取り業者でした。約束の日に買取り業者の若いスタッフさんが査定のため、軽自動車に乗ったて私の家にやって来ました。彼は時折、怪訝そうな表情で首を傾げるよう素振りをしながら、私の車の外観から内装までを何度も丹念にチェックしていました。その一部始終を駐車場から少し離れた玄関先から眺めていた私は、何でも構わないから早く査定を終わらせて買取りを急いでくれないかなと内心イライラしながら彼を待っていました。こちらは車を手放すしかない状況でしたから、どのような査定額でも売れて現金が手に入れば、それで良かったのです。ようやく長い査定が終わると、彼は初めにうちに来たときとは正反対の真剣な表情で言いにくそうに口を開きました。本当に車の買取りをしてしまって良いのか、何とか手放さないように出来ないのかと。新車に近い状態の車を私が大切に乗っていたことを査定していて感じたようで、売るなら高価で買取りをさせてもらうが、車好きとしては売るのは惜しいのではないかと彼は主張していました。私はその日、車を手放すことを諦めました。当時は大変でしたが結果的には車を売らなくても、家庭の事情は何とか乗り切りました。今になって、この車を残しておいて良かったなと感じることがあり、あの時の若いスタッフさんには感謝の思いがあります。

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